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時間外労働の上限規制

「24時間たたかえますか?」

バブル時代にはやったCMソングです。

当時はこれがビジネスマンを鼓舞するキャッチとしてはやりました。

 

今聞くと、とんでもない無理筋です。

 

しかしバブル以前に長時間労働していた人が大勢いたのは事実です。

それでも今ほど問題になりませんでしたがなぜでしょう?

 

「時代が違う」

「経済が絶頂期にあった」

「努力は報われると信じられていた」

「権利主張が表に出なかった」

「電通事件のような象徴的な事件がなかった」

 

これらが関係ないとは言いませんが、これらだけでは本質を捉えきれません。

 

日本は民主主義であると同時に資本主義の国です。

 

資本主義社会において資本が成長を目指さないということは論理的にあり得ません。

この社会で生きていくためにはお金を稼ぎ続けなければならないからです。

 

だから必然的に長時間残業や過重労働の問題が生まれてきます。

これらは具体的な労使関係から生まれてくるのです。

 

労使関係は使用者と労働者の立場の違いを前提とします。考え方や価値観に個人差はあっても、指揮命令関係にある限りそこでは資本主義社会の論理が働きます。

 

つまり、労使共に「もっと稼いでください」と求められるのです。

 

その結果、限度を超えて働かせすぎることが往々にして起こります。

 

では具体的に何が引き金になるのでしょうか?

 

一つ目の要因は、労使の力関係の違い

二つ目の要因は、時間で勝負するという根性論と責任論

 

これらはわかりやすいところです。

 

三つ目の要因は、「命令する側」が「命令される側」との立場の違いを理解しないことです。

 

「命令する側」が強欲で悪い人間だから?、、、違います。

 

命令する側は「いざとなったら自分は寝なくてもやり遂げる」とどこかで思っているのです。

 

そう思うことは自由です。

 

問題は「自発的に」長時間労働するか、「命令されて」長時間労働するかの違いです。この違いに気づかないか、忘れている人が多いのです。

 

自発的なケースは、結果について他人から責められる範囲が限られますが

命令されたケースは、結果について命令した人から責められる可能性が高いです。

 

また、「命令されて」には直接的な残業命令だけではなく、間接的な命令つまり長時間かかる仕事の命令や成果の命令も含みます。

 

そのプレッシャーたるや大きなストレスとなり、結局無理を受け入れることにつながります。

 

上記三つの要因が日本で長時間労働や過重労働の問題が後を絶たない要因だろうと思います。

 

現代の欧米先進諸国で極端な過重労働が社会問題として残っているところはありません。それは過去の歴史です。

 

過重労働の防止は、社会全体が「命令される側」の理解に立って推進する必要があります。

 

それが、法律による時間外労働の上限規制の意義です。

 

次回は、第2部として新しく施行された法律の内容についてお伝えします。